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エリザライア

天使候補生のエリザライアは魔女の血を引いていた。そのことを隠しながら天使の学校に通っていた。エリザライアは神・レウスに従い、人間たちをよりよく生活できるように導く勤めを学びながらも、それをあまり良く思っていなかった。
あくる日、とある事情で地上に降り立ったエリザライアはひとりの人間と出会う。青年・クーフェンと過ごす日々の中で、エリザライアは人間の醜さ、美しさ、強さ、儚さを知る。
「人間って、ずるいのね。普段はレウス様に感謝なんかしてないくせに、困ったときだけレウス様に祈るなんて」
「はは、エリィは厳しいなぁ。僕たち人間は、きっと神様に甘えているんだよ。困難を目の前にした時に…親を頼ってしまうような」
エリザライアは皮肉を言ったのに、クーフェンから返ってきた言葉は素直そのものだった。
「ふん、くだらない。生きる意味に思い悩んで、存在意義を求めるのは人間だけよ?」
「僕たち人間は、自我が強いんだ。だから他人との違いを気にしながらも自分に意味を持たせようとする。自分らしさの確立を求めながらも、孤立を恐れる…」
迷い、葛藤、矛盾。神はどうして不完全な人間を創ったのか。
湧きあがった疑問の答えは、見つからないまま年月は過ぎる。
 
人間の命は、あまりに短いものだった。
「……そう…。でもね、私…少しだけ、人間が好きになれたかもしれない…」
消えゆく命を前に、エリザライアは言葉を贈った。

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