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  • 日常のこととか、創作や二次創作の絵や妄想を好き勝手に綴っていく日記。
    ゲームや嗜好品の感想も。

  • うちよそ話

    ★はい、懲りずに、うちよそ話です。
    短めですが、同時進行で2本完成しました。正直疲れた死にそう。
    1話目は、ウチのサージェイドの本性です。あやさん宅のヒメカちゃんとレンリくんが出てきます。
    2話目は、あやさん宅の世界観の喫茶店お借りしてます。るびさん宅のセシルちゃんも出てきます。
    るびさん宅の子は初めてなので、至らない部分が多いです。セシルちゃんの詳細設定も不明のため、うずしおの妄想となっております。るびさん宅のセシルちゃんとは思いっきり相違があります。
     
    ま、全部、うずしおの妄想でしかないんだけどね!!(身も蓋も無い)
    あれよ、うちのサージェイドが創った別次元の世界だと思えばいいのよ!(ヤケクソ)
    でも、思いついたネタはちゃんと形にしたい…。いつもそう願いつつ、半分はお蔵入りなんだけども。
    あやさん、るびさん、ありがとう!
     
     
    でも、でも…。そろそろ本気で疲れた。
    絵も小説も、完成までに全力で数日かかってしまうことが大半だもの。
    少し休みたい…。


    「ちょ…ちょっと! レン! あれ見なさいよ!」
     町外れの小さな公園を通り過ぎようとして、ヒメカは慌てふためいた。
    「あ?」
     レンリは、気だるそうに声を出してヒメカが指差す方向へ目をやる。
     誰もいない公園の外灯の上に、まるでそこだけ雪が降り積もったかのように、純白色の大きな大福のようなものが乗っている。
    「何だあれ…」
     顔を顰めて、レンリが呟いた。
    「あれ、白い神じゃない…?」
     ヒメカは半信半疑ながら、公園へ入った。外灯の上に乗ってる白い物体を見上げて、ねえと声をかける。
     白い塊はにゅるりと動いて、青い鬣のドラゴンの姿に形を変える。真紅の瞳でヒメカとレンリを見下ろすと、外灯から飛び降り、着地すると同時に黒いパーカーを着た少年の姿に変わった。
     間違いない。サラが仲間に引き入れた、どんな願いも叶える神だった。
     公園全体の空気がざわつき始める。
    「?」
     少年が首をかしげた。次の言葉を待っているらしい。
    「あんた、サラのところの…。確か、サージェイド…」
     ヒメカが名を言うと、サージェイドはこくこくと頷く。全く敵意も警戒心も無さそうだった。
    「何か…思ってたよりも弱そうね…」
     ヒメカがレンリに目を合わせると、レンリは首を振った。
    「コイツはやべえヤツなんだよ。警戒してねえのは、“何しても死ぬことがない”からだ。魂すらねえんだよ」
     レンリは鋭い眼差しをサージェイドに向けている。
    「……」
     ヒメカは言葉に詰まった。魂が見えているレンリが言うのだから、魂が無いのは本当なのだろう。
     しかし、半信半疑だったとはいえ、声をかけてしまった手前、このまま立ち去るわけにもいかない。何か話さなければ。
     ヒメカは気になっていたことを思い出した。
    「ねえ、教えなさい。あの女は、あんたに何を願ったの?」
    「サラ…か?」
    「そうよ、サラの願いよ」
    「願い…の、他に言ウ…は、だめ」
    「あ、そう…」
     ヒメカは半眼になって口を尖らせた。別にあんな女なんてどうでもいい。と、自分に言い聞かせる。
     サージェイドは長い尻尾を揺らしながら、公園のジャングルジムの方へ走っていった。するすると上に落ちるように素早く登りきると、骨格だけの翼を大きく広げる。
     一瞬だけ純白の羽毛に包まれた翼が見えた気がした。
    「まだ話があるのよ!」
     ヒメカはサージェイドを見て声を大きくした。
     サージェイドはきょとんとした顔でヒメカを見ると、真っ白な豹の姿に変えて、ジャングルジムの天辺から飛び降りた。着地と同時に、また人の姿に変わる。
    『用件は』
     突然、頭の中に威厳を感じる低い声が響いて、ヒメカは硬直した。レンリにも聞こえたらしく、レンリは手から大鎌を出して身構えた。
     サージェイドはそんなヒメカとレンリを見て薄く笑うと、今度は砂場の方へ走っていった。両手で砂を掬い上げ、空に向かってばら撒く。投げられた砂の粒は花びらと雪の結晶に変わり、ヒラヒラと舞い落ちた。
    「あんたの声…なの?」
     ヒメカは注意深くサージェイドを見据えた。
    『人語は発音するに難しい。この方が話しやすい。…願いを言いに来たのか?』
    「え…」
     思いがけない言葉に、ヒメカは息を飲んだ。
    『誰しも願いを秘めている。赤い魔女と、魂狩りの元人間。お前たちもそうであろう』
    「願い事…」
     ヒメカは小さく呟いた。図星だった。けれど、こんな都合のいい事、信じられない。この白い神は、サラの仲間なのだから。
    「ねぇ、あんた、本当に神様なの?」
    『それを決めるのは、お前たちだ』
    「なにそれ、意味わかんない!」
    『我は願いを叶える存在であって、何であるかは他の者が決めてきた。神と呼ぶ者が最も多かったが、悪魔と呼ぶ者もいた。崇拝対象とする者もいたし、道具とする者もいた。好きに決めるといい』
    「ずいぶん、いい加減ね…」
     呆れた声でヒメカは言葉を返した。
     サージェイドは相変わらず公園内を動き回っている。話す態度もいい加減で、少なからず腹が立つ。
    「っていうか、あんた、何でそんなに偉そうな口調なのよ。喋ってるのと違いすぎておかしいわ!」
     文句を言うと、サージェイドは首をかしげた。
    『我はお前たちに直接、意を伝えているだけであって、我の口調をどう感じ取っているかはお前たちの先入観、または心にある印象次第だ』
    「何それ…」
     ヒメカはレンリを見上げた。
    「俺には、気味悪ぃガラガラとした声に聞こえる」
     ヒメカの意図を察したレンリが言った。どうやら、違う声に聞こえているらしい。
     ヒメカは大きく息を吸った。
    「あんたは子供!あんたは子供!あんたは子供! 子供ったら子供ッ!」
     まさかとは思いつつも、自己暗示をかけてみる。
    『そんなに思うほど、子供っぽいかなぁ?』
    「本当に…変わった…」
     口調だけでなく、声色も少年のような高い声になった。
    『ほら、君次第だろ? オレが何であるかを決めるのは君たちだから』
     サージェイドはシーソーの上に乗って、ヒメカに振り向く。シーソーはサージェイドの重さを感じていないのか、傾かずに上がったままだった。
     無邪気さと不気味さを感じて、ヒメカは肩を竦める。
     レンリは大鎌を構えたまま、サージェイドを睨んでいた。
    「本当に、どんな願いも叶えてくれるの?」
    『どんな願いも、望まれれば、いくらでも。それがオレの本性だからね』
     上がったままのシーソーの上で、足をぷらぷらと揺らし、サージェイドは言った。
    『でも、いくらでも叶えてたのは昔の話。オレは力の源を失ったから、今は対価が必要だ』
     そう言い加えて、サージェイドは真っ白な鳥の姿に変わって、飛んでいった。公園に設置されている池の上まで飛んでいくと、今度は人魚のような姿に変えて、池に飛び込んだ。
    「対価…? それって、命…とか?」
     伺うように、ヒメカは呟いた。
    『そうだね。生贄や供物を対価にした人もいた。君の場合、特定の人物の運命を変えることになるから、運命と同じ重さの対価が必要だ』
    「!」
     ヒメカは目を見開き、たじろいだ。この神は、ずっとずっと願ってやまない想いを把握しているのだと分かった。
     でも、この神はサラの仲間のはず。だけど、この話の流れは願いを叶えてくれる様子がある。
     それなら話は早い。ヒメカは心にある葛藤を抑えた。
    「運命の重さって…。例えば何よ?」
    『誰かの運命や命、他にもあるけど…。君自身がもっている、その魔女の魔力全てでもいい。…ただし、全ての魔力を失った君はごく普通の人間になる。手に入れた者と一緒に歳をとって、やがて死ぬ」
     それを聞いたヒメカは走り出して、サージェイドが泳いでいる池に向かった。身を乗り出して、水面に頭を出しているサージェイドに顔を近づける。
     それって、もしかして。
    「あ…あたし、あの人と同じ時間を暮らせるの…?」
     夢見ることすら許されないと思っていたことが、実現できるかもしれない可能性に、ヒメカは身を震わせた。
    「ヒメカ、騙されんな。こいつは悪魔よりタチが悪い存在だ」
     レンリが駆け寄ってきて、ヒメカの肩に手を置いた。
     サージェイドは表情らしいものは浮かべず、首をかしげる。
    『騙されたかどうか、それを決めるのも君たちだ。オレは願いを叶えるだけだから』
    ばしゃりとイルカのように跳ねて、水面から尾びれを覗かせてゆっくりと左右に振る。
    「黙れ化け物」
     レンリは怒りを込めて低い声を出すと、ヒメカの手を引いた。
    「こいつに関わるな。ロクなことにならねえ。帰ろう」
    『オレが怖いのか?』
     サージェイドはレンリを見上げた。
    「ああ、そーだよ! 俺は得体の知れねえのが大っ嫌いなんだ」
     レンリは乱暴な言い草でサージェイドに言い返した。
     サージェイドは、ふぅんと頷いて、またイルカのように跳ねた。
    『君たちが神と呼んでいる存在と、悪魔と呼んでいる存在。その差って何だ? 自分にとって有益なことをしてくれるのが神で、悪いことをするのが悪魔だろ? オレは願いを叶えるだけ。その結果がよければ神とされるし、悪ければ悪魔と呼ばれる。…好きにすればいい。願いも、その意味も、それが招いた結果も。良いか悪いかの決定権は、君たちなんだから』
    「うるせえ! 悪神が!」
    『っ…』
     サージェイドがびくりと体をゆらした。目を大きくして視線を逸らす。明らかに動揺している様子に見えた。
    「何だ? 悪魔と呼ばれるのは平気なくせに、悪神と呼ばれるのは傷付いたか?」
    『……』
     サージェイドは俯いてぎりりと牙を食いしばる。そして、人魚の姿のまま翼を生やすと池から飛び上がった。ぎゅっと目を閉じ、くるりと身を翻すと、煙のように消え去っていった。
     公園がしんと静まり返る。ざわついていた空気が、嘘のように晴れた。
    「…逃げやがったか」
     レンリは、ふんと鼻を鳴らし、大鎌を手の中に戻した。
    「あたし…、お願い事…が…」
     サージェイドが消えた場所から目が離せず、呆然と立ち尽くすヒメカ。
    「冷静になれよ」
     レンリは溜め息をする。ヒメカの背を押し、帰りを促した。


     ちりん。と、入店を告げる鈴の音。
     サラは出入り口の方へ顔を向けた。
    「いらっしゃいませ!」
     入店者の姿を見て、サラは目をぱちぱちとさせた。
     ピンク色の髪を生やした可愛らしい少女が立っている。少女はサラと目が合うと、花が咲くような微笑みを浮かべて、ピンク色のワンピースの裾を摘み、会釈をした。ほのかに漂う気品さがある。
     サラは可愛いらしさに見とれてしまいそうなのを我慢し、少女をテーブル席へと案内した。コップに水を注ぎ、少女にメニューを見せながら本日のオススメメニューを説明する。少女は、ゆっくりと頷きながら聞いていた。
    「お決まりになりましたら、お呼びください」
     そう言い終え一礼すると、サラは早足でカウンター席の端に座っている2人の所へ向かった。
    「ねぇ! サージェイドくん、レンさん。あの子、すっごくかわいい!」
     見て見てと言わんばかりに、サラは2人の肩を揺すった。
     サージェイドはフライドポテトを咥えたまま少女の方へ目を遣る。真紅の瞳で数秒ほどじっと見つめて、「マザリモノ…」と呟きながらこくこくと頷いた。
    「あー?」
     一方、レンリは気だるそうに顔を上げ、目深になったフードを少し持ち上げると、横目で少女をちらりと見た。
    「……。俺はあんたにしか興味ねえよ」
     と、サラを見上げる。
    「それは今、関係ないです!」
     サラは顔を赤らめてレンリに抗議した。
    「コーヒーのおかわり、いかがかな?」
     店長がカウンターの奥から少し棘のある声色で、レンリに言い放った。レンリは舌打ちして、サージェイドを指差しながら店長を睨む。
    「おい、店長。何でコイツを俺の隣に座らせやがんだ。他の席、空いてんだろ」
    「サージェイドくんは、見張り役さ。特に、今僕の目の前にいるような不審者の、ね」
    「ざけんな。こんな得体の知れないのが隣りにいるんじゃ、生きた心地がしねえよ。うさたまたちもビビって出てきやしねえ」
     レンリは大きく息を吐いて、再びサラを見上げた。
    「なぁ、そろそろあんたの魂を…」
    「ガァ!」
    「痛ぇ!」
     突然サージェイドに腕を噛み付かれて、レンリは立ち上がった。ハッとして店長を見ると、店長は不敵な笑みを浮かべ、右手の指をぱくぱくと動かしていた。その仕草は明らかに何かの指示をしているように見える。レンリは腕に噛み付いているサージェイドの青い髪を引っ張って引き剥がした。
    「おい化け物! 高位存在がなんで人間なんかの使い魔に!? あの男、一体どんな契約を…」
    「ごはん、おいシい」
    「餌付けされてんのかよ!」
     3人の遣り取りを見て、サラはレンリが店長とサージェイドとも仲良くなれたのだと勘違いして、にっこり笑った。
     お客が去ったテーブルを拭いて、再び少女の方を見ると、少女はメニューから目を離して、店内を見回していた。
    「お決まりですか?」
     サラはすぐに少女へ近づいて声をかける。
     少女は嬉しそうに目を細めた。その瞳は、透き通るような美しいアイスブルーの色をしていた。
    「これと…これを、お願いします」
     少女は見た目に違わぬ可憐な声で言いながら、メニューを指差す。
    「かしこまりました!」
     サラは元気に返事をし、サージェイドの尻尾で首を絞められているレンリの横を通り過ぎて、店長の所へ戻った。
    「店長、ティラミスとイチゴミルクをお願いします!」
    「はい、すぐに用意するよ」
     店長はにこやかな笑顔で応えた。
     サラは店長の作業の邪魔にならないように少し離れた位置で、少女を見ていた。
     どこかのお嬢様だろうか。気品ある佇まいは、昔話のお姫様のように感じる。
     あれ? でも…。
     サラは少女を見つめる目を凝らした。
    「翼…?」
     こちらからだと良く見えないが、少女の背中に翼が生えているように見える。
     サラは店長が用意したティラミスとイチゴミルクをトレーに乗せる。レンリを見てくすくすと笑う店長を後に、サージェイドに頭を噛み付かれているレンリの隣を通り過ぎて、少女の所へ向かった。3人が仲良しになれたようで、本当に良かったと思う。
    「お待たせしました」
     少女の前にティラミスとイチゴミルクとテーブルへ置き、サラは一礼しながら少女の背中を覗き込んだ。
     やわらかな羽に包まれた翼が見える。やはり見間違いではなかった。
     サラは感極まって両手の拳を握り、唇を噛み締めた。
     この少女はきっと天使に違いない。このお店にもついに天使が来たんだと、サラは心を弾ませた。
     コップの水が少なくなっているのに気付き、サラはコップを手に取る。
     その時。
     手が滑り、コップが空を切るように落ちて割れた。
    「わわっ、申し訳ありません!」
     サラは血の気が引き、慌ててコップの破片を拾い上げる。店長の方を見ると、幸いにも、レンリとサージェイドと騒いでいるお陰で、気付いていないようだった。特に店長にはとても心配されてしまうから、迷惑をかけないように急いで片付けてしまおうと思った。
    「っ…」
     逸る気持ちでコップの破片に触れた指先が、赤い筋を引いた。赤い線はじんわりと熱を帯び、ぷつぷつと出てきた真紅色の粒が大きくなっていく。
    「大丈夫ですか?」
     ふいに声をかけられて、サラは顔を上げた。
     少女が気遣うように見つめていた。
    「大丈夫です。すぐに片付け…」
     サラが言い終わらない内に、少女はしゃがみ込んでサラの手を両手で包んだ。少女の翼と手が光り、人肌の温かさとは明らかに違う、やさしい温もりが伝わってくる。
     すると、サラの指先から出た血が引いていき、傷ひとつ無い指先に戻る。
     少女の翼が、氷の結晶のようにきらきらと輝いたのがゆっくりと元に戻っていくのを見て、サラは驚きのあまり、体が固まったまま動けなかった。
    「わたしのこと、内緒に…してくださいね」
     少女は、人差し指を口元に当てて、囁いた。
    「…やっぱり、天使だ…」
     呆然とするサラが無意識に呟いた言葉に、少女は小さく首を振る。
    「セシルと申します」
     やわらかな微笑を湛え、セシルと名乗った少女はゆっくり立ち上がると、席へ着いた。
    「ありがとうございます!」
     サラは立ち上がって、少女に深く頭を下げた。
     すごい。天使は怪我を治せてしまうんだ。サラはすっかり気分が高揚していた。
     店長たちに気付かれないように箒を持ち出し、コップの破片を片付ける。
     片付け終わったころに、サラはセシルの背中の翼を見つめて、セシルとの約束を思い出した。
    「内緒にっていわれたけど…。もう、バレちゃってるよねぇ…」
     店長は人ならざる者の姿が見える。レンリは魂が見えている。サージェイドは…多分何か分かってるはず。
     サラは気まずい表情で、3人の方へ目を遣る。
     3人は、サラの心配をよそに、まだ騒いでいた。

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