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  • 日常のこととか、創作や二次創作の絵や妄想を好き勝手に綴っていく日記。
    ゲームや嗜好品の感想も。

  • ある日の夢

    ★「メンデス様以外には従いませんよ。愛玩用でなく、戦闘用なので。・・・地上人め、媚びてやるとでも思ったかよ? その平和ボケした頭を砕いてやろうかァ!」
    頭の良い時&凶暴な時のクラーケンでは、まず絶対飼えない。懐かない。
     
     
    金魚鉢に入る、といっても触腕はみ出まくりだけど、そのくらいの大きさのクラーケンだった。
    海中戦特化型戦闘兵器とはいえ、非戦闘時は生き物と何ら変わらない。
    でも、小さくてもクラーケンはクラーケンだった。
    ・・・懐かない。
    メンデスか、自分と同列の者以外の言うことは、全く聞く気が無い様子。
    何故か、にぼしが好きで、これをあげてる時だけは、おとなしかった。
    海や水中にいる生物を「海中人」と言い、陸上で生きる動植物を「地上人」と呼んでいた。しかも、微妙に差別していた。
    ころころと性格が変わるもんだから、状態を見て対応しないと、すぐ暴れだす。
    でも、金魚鉢から抜け出す事は無く、いつもそこに居た。
    特別でもない仕事をして、家に帰ればクラーケンを構う。ゆるゆると過ぎていく日々。
    時々、話しかけてくれる事も増えてきた。
    今それしてる何?とか、今日はカジキが食べたいから獲ってこいとか、人間でいるのは楽しいか?とか。
    その場限りの他愛の無いやりとりから、他の種族から見た人間はそう見えているのかと気づかされることまで。
     
    どういう経緯か忘れたが、イカロスが引き取りに来た。
    「…それが生きる場所は、金魚鉢の中ではありませんわ…。…戦場です」
    と、そうイカロスが言う。
    イカロスは、金魚鉢を抱えて、あまり熱の感じない火力を纏い、颯爽と天空に飛んで去って行った。
     
    去っていった地平線の先は、夕焼けでもないのに真っ赤に燃え上がる、戦火に荒れた世界だった。
    クラーケンを金魚鉢に入れて飼っていた時間、どれだけの戦火が海に上がっただろうか。
    平和ボケした頭を砕いてやろうかと言われた言葉が、心に沁みた。
     
     
    ・・・そんなお話。

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